住宅ローン減税とは?適用を受けるための要件と手続きの流れ、注意点

住宅ローン減税は数ある税制優遇制度の中でも特に節税効果が高く、適用を受けられるかどうかで実質的な負担額に数百万円の差がつくこともあります。この記事では、住宅ローン減税の適用を受けられなくなったり、本来の節税効果が得られなくなったりしないように、適用を受けるための要件と手続きの流れ、注意点について解説します。

【目次】
住宅ローン減税の基礎知識
住宅ローン減税の手続き方法
住宅ローン減税を利用するときの注意点
住宅ローンを契約する際は住宅ローン減税の要件を満たしているか確認を

住宅ローン減税の基礎知識

まずは住宅ローン減税制度の基本的な仕組みからご紹介します。ここでは2015(平成26)年4月以降、2021(令和3)年12月までに入居する場合について取り上げます。

住宅ローン減税とは

住宅ローン減税(住宅ローン控除)とは住宅ローンを利用してマイホームを購入した人や、リフォームを行った人を対象に、金利負担の軽減を図るための制度のことで、正式には「住宅借入金当特別控除」と呼びます。一定の要件を満たす場合に、住宅ローンの年末残高または住宅の取得対価のいずれか少ないほうの金額(最大4,000万円)の1%、年間40万円を上限に、最長10年間にわたり所得税から直接控除を受けられます(税額控除)。所得税から控除しきれない場合には136500円(前年度課税所得の7%を限度)を上限として、翌年の住民税からも控除可能です。取得する住宅が新築・未使用の認定長期優良住宅、または認定低炭素住宅の場合、控除対象となる住宅ローンの年末残高は最大5,000万円、控除限度額は年間50万円になります。

また、消費税10%が適用される住宅を取得し、2020(令和2)年1231日までに入居した場合は控除期間が3年間延長され、最長13年間にわたって控除を受けられます。延長分の11年目〜13年目の控除限度額は、次の1と2いずれか少ないほうの金額となります。

  1. 住宅ローンの年末残高または住宅の取得対価(上限4,000万円 ※1)のいずれか少ないほうの金額の1%
  2. 建物の取得価格(上限4,000万円 ※1)の2%÷3(消費税増税分の2%に相当する金額)

※1:新築・未使用の認定長期優良住宅、または認定低炭素住宅の場合は上限5,000万円

なお、新型コロナウイルス(COVIT -19)感染症の影響で入居が遅れた場合、次の要件を満たしていれば入居時期の要件が緩和され、2021(令和3)年1231日までに入居すれば住宅ローン減税の適用を受けられます。

  • 以下の期日までに契約が行われていること
    注文住宅の新築の場合:20209月末
    分譲住宅・既存住宅(中古住宅)を取得する場合、増改築等をする場合:202011月末
  • 新型コロナウイルス感染症の影響により入居が遅れたこと

参考:「住宅ローン減税の適用要件が弾力化されます!~新型コロナウイルス感染症の影響で期限内に入居できない方へ~」(国土交通省)

住宅ローン減税の主な適用要件

住宅ローン減税の適用を受けるには、次のような要件を満たす必要があります。

  1. 住宅の引渡しまたは工事完了から6カ月以内に自ら居住すること(別荘などのセカンドハウス、賃貸用住宅は対象外)
  2. 住宅の床面積が50平方メートル以上あること
  3. 住宅ローンの借入期間10年以上であること
  4. 住宅ローン減税の適用を受ける年の合計所得が3,000万円以下であること
  5. 併用住宅の場合、床面積の2分の1以上が住宅ローン契約者の居住用であること
  6. 中古住宅の場合、一定の耐震性能を有していること など

住宅ローン減税の手続き方法

住宅ローン減税の適用を受けるには、入居した翌年の確定申告時に自ら申請する必要があります。サラリーマンなど給与所得者の場合、初年度(入居年の翌年)には確定申告による申請が必要ですが、2年目以降は勤務先に必要書類を提出すれば年末調整で控除を受けられます。ここでは給与所得者が住宅ローン減税の適用を受ける場合の手続きについて詳しくご紹介します。

初年度の手続き方法

住宅に入居した翌年に居住地を管轄する税務署で確定申告を行います。税務署の窓口に必要書類を持参するほか、郵送やインターネット(e-Tax)で提出することもできます。

<住宅ローン減税の申請に必要な主な書類>

書類 入手先
確定申告書 税務署

国税庁ホームページ

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
本人確認書類の写し

(マイナンバーカード、マイナンバー記載の住民票の写し+免許証など)

市区町村役場
給与所得の源泉徴収票 勤務先
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 借入先金融機関
登記事項証明書 法務局
売買(請負)契約書 不動産会社(建設会社)
中古住宅の場合:以下のいずれか

・耐震基準適合証明書

・既存住宅性能評価書

・既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書

建築士など

登録住宅性能評価機関

住宅瑕疵担保責任保険法人

認定長期優良住宅の特例を適用する場合:以下のいずれか

・長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し

・認定長期優良住宅建築証明書

・住宅家屋証明書

市区町村役場
認定低炭素住宅の特例を適用する場合:以下のいずれか

・低炭素建築物新築等計画の認定通知書の写し

・認定低炭素住宅建築証明書

・住宅家屋証明書

市区町村役場

確定申告書や(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書は、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」から作成するのが便利です。

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2年目以降の手続き方法

給与所得者の場合、2年目以降は勤務先に次の必要書類を提出すれば年末調整で住宅ローン減税の適用を受けられます。

<年末調整で住宅ローン減税の申請をするために必要な書類>

書類 入手先
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

(兼 年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書)

税務署
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 借入先金融機関

「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」は一体になっており、確定申告をした年に住宅ローン減税の適用期間分の申告書がまとめて送られてきます。住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書は、毎年10月頃に住宅ローンを契約している金融機関から送られてきます。

なお、年末調整で住宅ローン減税の申請を忘れた場合でも、原則通り確定申告を行えば控除を受けられます。

出典:国税庁「令和元年分 年末調整のしかた」

住宅ローン減税を利用するときの注意点

住宅ローン減税を利用するときには、次のような点に注意が必要です。

借り換えを行うと住宅ローン減税の適用外になる場合がある

借り換え後の住宅ローンの借入期間を10年未満に設定すると、住宅ローン減税の適用を受けられなくなってしまいます。控除が受けられなくなれば、借り換えによって返済額を減らせても、実質的な負担が増えてしまうおそれがあります。控除期間中に借り換えを行う際には、特別な事情がない限り、借入期間は10年以上に設定するようにしましょう。

また住宅ローン減税の適用期間は、入居開始から最長10年間(または13年間)であり、住宅ローンの借り換えによって控除期間が延長されることはありません。

ふるさと納税を併用すると控除額が減少するおそれがある

ふるさと納税と住宅ローン減税は併用できます。ただし、確定申告によりふるさと納税を行うと、住宅ローン減税によって控除できる金額が減少するおそれがあるため注意が必要です。

確定申告によりふるさと納税を行った場合、ふるさと納税額から2,000円を引いた額が寄附金控除として所得から控除され、課税総所得が減少します。所得税や住民税は課税総所得をもとに算出されるため、ふるさと納税をすることで課税総所得が減れば、所得税や住民税も減少するという仕組みです。

<確定申告を行う場合のふるさと納税と住宅ローン減税の控除の流れ>

  1. 課税総所得からふるさと納税の寄付額(寄付額から2,000円を引いた額)が控除される
  2. 控除後の課税総所得をもとに所得税や住民税が算出される
  3. 住宅ローン減税により所得税が控除される
  4. 所得税で控除しきれない場合は住民税から控除される

ここで問題になるのが、住宅ローン減税は所得税や住民税の金額を超えて控除ができないということです。住宅ローン減税の控除可能額は住宅ローンの年末残高の1%が上限ですが、課税総所得が減ることによって所得税や住民税が減少すれば、控除可能額よりも税金の金額が少なくなり、控除を受け切れないケースが出てきます。

なお、ふるさと納税には条件を満たした場合に確定申告が不要になるワンストップ特例制度があります。ワンストップ特例制度を利用した場合、ふるさと納税で受けられる控除は課税総所得ではなく住民税から直接引かれるため、住宅ローン減税の控除額に影響することなくふるさと納税を行えます。

<ワンストップ特例制度を利用した場合のふるさと納税と住宅ローン減税の控除の流れ>

  1. 課税総所得をもとに所得税や住民税が算出される
  2. 住宅ローン減税により所得税が控除される
  3. 所得税で控除しきれない場合は住民税から控除される
  4. 住民税からふるさと納税の寄付額(寄付額から2,000円を引いた額)が控除される

ワンストップ特例制度を利用すると、ふるさと納税よりも住宅ローン減税のほうが早いタイミングで控除が行われるため、住宅ローン減税の控除可能額に影響しなくなるというわけです。

なお、ワンストップ特例制度は、次の3つの条件をすべて満たす場合に利用できます。

  1. 給与所得者などふるさと納税以外で確定申告をする必要がない
  2. 1年間の寄付先が5自治体以内
  3. ふるさと納税の申込みの都度、寄付先の自治体へ申請書を提出している

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住宅ローンを契約する際は住宅ローン減税の要件を満たしているか確認を

住宅ローン減税の適用を受けるためには、物件の床面積や性能、住宅ローンの借入期間などの要件を満たしたうえで、自身で手続きをする必要があります。住宅ローンの契約や借り換えを行う前には、住宅ローン減税の要件を満たしているかをあらかじめ確認するようにしましょう。

 

監修

竹国 弘城(たけくに ひろき)/1級FP技能士、 CFP認定者

証券会社、生損保総合代理店での勤務を経てファイナンシャルプランナー(FP)として独立。相談者の利益を第一に考え、自分のお金の問題に自分自身で対処できるようになるためのコンサルティングや執筆活動などを行う。

 

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