転職すると住宅ローンが組めなくなる?転職後に申し込む際の注意点

住宅ローンの融資実行までには、さまざまな審査プロセスがあり、各段階では、いくつかの審査項目と審査基準が設けられています。その中でも、銀行を含むほとんどの金融機関で「ひとつの会社における一定の勤続年数を考慮している」ことが国土交通省の調査でわかっており、転職に伴う勤続年数の減少は、住宅ローン契約の審査に影響を与えるおそれがあります。

この記事では、転職が住宅ローン契約の審査に与える影響や転職後に住宅ローン契約をする際の注意点とリスク、そして住宅ローンの申し込みは転職前と転職後のどちらが良いのかをご紹介します。

【目次】
転職は住宅ローンの審査に影響する?
転職後に住宅ローンを申し込む際の注意点
住宅ローンを申し込むなら転職の前と後のどちらが良い?
転職が影響する審査ポイントを把握しておこう

転職は住宅ローンの審査に影響する?

金融機関は、多くの評価指標を総合的に審査して住宅ローンの融資の可否を判断しています。中でも、ひとつの会社における勤続年数は評価指標として挙げられることが多く、国土交通省の「令和元年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」によると、調査対象機関の95.6%がひとつの会社における勤続年数を考慮すると回答しています。

そのほかにも、勤続年数以外に考慮する項目として、完済時年齢(99.0%)、健康状態(98.5%)、担保評価(98.2%)、借入時年齢(96.8%)、年収(95.7%)などが挙げられています。

このことから、ひとつの会社における勤続年数は評価指標のひとつではあるものの、転職をして勤続年数が短くなったからといって、住宅ローンが借りられなくなるわけではないと考えられます。

参考:「令和元年度 住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」(国土交通省)

転職後に住宅ローンを申し込む際の注意点

転職後に住宅ローンを申し込む場合、いくつかの注意点があります。住宅ローンを申し込む金融機関により多少の違いはありますが、基本的には同じです。ここでは、基本的なチェックポイントを3つご紹介します。

勤続年数の条件を定めている金融機関がある

すべての金融機関が該当するわけではありませんが、住宅ローン契約の条件として、ひとつの会社における最低勤続年数を定めている金融機関もあります。そのため、転職後の勤続年数が短い状況で住宅ローンを申し込む際には、勤続年数を条件としていない金融機関を利用するのが望ましいでしょう。なお、全期間固定金利型の住宅ローンとして知られる【フラット35】は、勤続年数が短くても申し込みが可能となっています。

別途書類の提出を求められるケースがある

転職後に住宅ローンを申し込む場合、必要書類が通常とは異なるケースがあります。一例として、転職した人が提出を求められる可能性がある書類は以下の通りです。

  • 年収(1年間の手取り収入)見込証明書や毎月の給与明細書など、転職先での年収(1年間の手取り収入)がわかる書類。または直近年の確定申告書
  • 雇用契約書や採用通知書など、雇用に関する証拠書類

どのような書類が必要になるのかは前もって金融機関の担当者に相談するのが良いでしょう。

転職で年収が下がる場合は借入額に注意が必要

転職の前と後で年収(1年間の手取り収入)が下がる場合、転職後の年収(1年間の手取り収入)をベースに借入額を決めることが望ましいと言えます。というのも、転職前の年収(1年間の手取り収入)を基準に借入額を決めると、融資の審査に落ちたり、審査に通過したとしても返済が苦しくなったりするおそれがあるためです。この場合、頭金を増やして借入額を下げたり、返済期間を長くして月々の返済額を抑えたりすることも検討する必要があるでしょう。

住宅ローンを申し込むなら転職の前と後のどちらが良い?

転職予定がある中で住宅ローンを申し込む場合に、転職前と転職後のどちらが良いのかを悩まれる方は多いと思いますが、融資の申し込みを行うタイミングとしては、転職後がおすすめです。ここでは、その理由についてご説明します。

転職前に住宅ローンを申し込むと再審査となるおそれがある

住宅ローンの申し込み後に転職をする場合、申請していた情報と相違が生じます。仮にその事実を伝えずに黙っていたとしても、健康保険証などの提出書類によって判明するケースがあります。
また、申請していた情報と相違が生じた結果、申込内容に誤りがあると判断され、契約ができなくなるおそれもあります。

この場合、書類を提出し直したうえで再審査が必要となります。再審査の結果、融資が下りなかった場合は、物件の売主に違約金を支払うことになるケースもありますので、注意が必要です。

融資実行後の転職は届出事項の変更手続きが発生する

借り入れ後に転職を行い勤務先などの届出事項が変更になった場合、定められた方法で速やかに金融機関に報告することが義務付けられています。変更時に報告が必要な届出事項は契約書に記載されており、金融機関の指定フォーマットに変更内容を記入して提出します。

このように、転職前に住宅ローンを申し込むことで、融資までの期間が長くなったり、必要な手続きが増えたりします。住宅ローンはできるだけ転職後に申し込むのが望ましいでしょう。

転職が影響する審査ポイントを把握しておこう

近年、転職することが珍しくなくなってきており、キャリアアップやスキルアップを目指し積極的に転職を行う方も多く見受けられます。こうした時代背景の中で、住宅ローンの申し込みと転職のタイミングに悩まれる方は多いことでしょう。住宅ローンは転職前よりも転職後に申し込むことで、再審査や融資不実行のリスクを下げられます。転職を予定していて、住宅ローンの利用を迷っている方は、転職後に申し込みを行うことをおすすめします。

監修

山田 浩(やまだ ひろし)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP認定者

青山学院大学卒業後、大手ゼネコン勤務を経てIT関連会社を設立。財務会計システムの上流工程エンジニアとして数多くのシステム構築を手掛ける。現在は、マネーコンサルティング業務にベクトルを傾け、パーソナルファイナンス研究事務所 & techの代表としてとして活動中。

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