マイホームを購入するなら知っておきたい、燃えにくい家の3つの基準

賃貸でも持家でも、火災は誰もが避けたいものですが、大切なマイホームならなおさらです。

住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して融資する住宅ローンフラット35」では、申込みに際して「燃えにくい家であること」など、さまざまな技術基準をクリアしていないといけません

ローンを組むためにも、安心して住み続けるためにも、燃えにくい家とはどういうものか確認してみましょう。

 

フラット35を借りるには安心して長く暮らせる家であることが条件

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そもそも、住宅金融支援機構が定める技術基準は、安心して長く、快適に暮らせるような住居をつくるために定められています。「より良い物件にはより良い融資」という考え方がベースとなっているのです。

 

この考え方に基づき、全期間固定金利のフラット35を利用するには、耐久性・可変性、省エネルギー性に関する技術基準を満たすことが必要です。

「燃えにくい家であること」も、耐久性に関する基準のひとつに含まれています。具体的には、住宅の構造が「主要構造部を耐火構造とした住宅」「準耐火構造(省令準耐火構造の住宅を含む)の住宅」もしくは「耐久性基準に適合する住宅」のいずれかに適合している必要があります。

耐火構造とは?

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建築基準法第2条第7号の定義によると、耐火構造とは「壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、耐火性能に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造、れんが造その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの」とされています。

 

耐火性能は、通常の火災が終了するまでの間、当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために、当該建築物の部分に必要とされる性能のこと。通常の火災による火熱が一定時間加えられても、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊、その他の損傷を生じないことが必要とされます。

例えば2階建ての一軒家では、壁・柱・はり・床は1時間、屋根・階段は30分間など、それぞれの建築物の部分、建築階層ごとに要耐火時間が定められています。

準耐火構造とは?

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建築基準法第2条第7号の2の定義によると、準耐火構造は「壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、準耐火性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの」とされています。

 

準耐火性能は、通常の火災による延焼を抑制するために、当該建築物の部分に必要とされる性能のこと。耐火性能同様に、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後から一定時間、それぞれ構造耐力上の支障のある変形、溶融、破壊、その他の損傷を生じないことが必要とされます。

 

耐火構造と準耐火構造の違いは、火災の後の状態にあります。準耐火構造は延焼を抑制するという目的から、火災を一定時間耐えればその後は燃えたり倒壊したりしても問題ありません。これに対して耐火構造は、火災による建物の倒壊及び延焼の防止を目的としています。一定時間の火災を耐えた後も、建物はしっかりと形を残していなければいけません。

 

省令準耐火構造とは?

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省令準耐火構造の住宅とは、建築基準法で定める準耐火構造に「準ずる」防火性能を持つ構造として、住宅金融支援機構が定める基準に適合する住宅のことです。上述した準耐火構造の建築物ではないものの、フラット35の利用においては準耐火構造の住宅として取り扱われます。

 

省令準耐火構造の住宅は、「外部からの延焼防止」「各室防火」「他室への延焼遅延」3つを特徴としています。

例えば、火の粉による建築物の火災を防止できるよう屋根を不燃材料で葺(ふ)くことを規定していたり、室内の内側の壁や天井に強い石こうボードを使用することで火が構造材に燃え移るまでに時間がかかるような工夫を加えていたり、火災の通り道となる壁や壁内部の取合部に断熱材などのファイヤーストップ材を設けたりといった対策が施されています。

 

燃えにくい家で家計にも安心!

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燃えにくさ・壊れにくさは「構造級別基準」として、火災保険料・地震保険料にも大きな影響を与えます。

平たくいえば、燃えにくい・壊れにくい家の方が保険料はお得になるのです。

 

火災保険における建物の構造級別は、一般的に「コンクリート造」「鉄骨造」「木造」といった柱の種類や建物の形態に基づきます。しかし、木造建物でも建築基準法に定める「耐火建築物」「準耐火建築物」、そして住宅金融支援機構が定める「省令準耐火構造」では、耐火性が優れているものとして構造級別が上がり、保険料率が良くなります。

 

監修

武田 明日香/ファイナンシャル・プランナー、キャリア・デベロップメント・アドバイザー
URL : 株式会社エフピーウーマン http://www.fpwoman.co.jp/
1983年生まれ、三重県出身。「女性がライフステージで選択を迫られたときに、諦めではなく自ら選択できるための支援がしたい」という想いから、2013年にファイナンシャルプランナーに転身。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく!トラベル!」や「Saita」「andGIRL」などの雑誌、「わたしのマネー術」などのウェブサイトをはじめ、幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人を送るための知識を伝えている。マンツーマンで家計改善に取り組む「お金の体質改善マンツーマントレーニング(jfa.ac/fpw )」のマネートレーナーとしても活動中。

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