【住宅ローン】月々の返済額を減らす方法と注意点を解説!

 

住宅ローンを組む際には、長期で返済することを前提に無理のないプランを考えてスタートしますが、返済期間の途中でさまざまな事情によって収入が減ったり、ローンの返済が難しくなったりすることが起こりえます。

住宅ローンを滞納してしまうと、その後の借り換えなどにおいて不利となるため、毎月の返済額を減らすような先手を打つことが大切です。

本記事では、住宅ローンの毎月の返済額を減らす方法とその注意点について解説します。

 

【目次】
住宅ローンの月々の返済額を減らす方法と注意点
コロナウイルスの影響で収入が減った人は住宅ローンの減免措置がおすすめ
月々の返済額を減らす方法はある!支払えなくなる前に早めの行動を

住宅ローンの月々の返済額を減らす方法と注意点

病気やけが、失業などで一時的に収入が途絶えただけである場合には、収入が戻る見込みがあることから現状維持のままでもよいかもしれません。

しかし、世帯の収入が減って今後も増える見込みがない場合、返済額を支払える範囲の金額に見直す必要があります。

ここでは、ローンの返済額を減らすための3つの方法を紹介します。自分に合った方法を検討してみましょう。

1:低金利の住宅ローンに借り換える

現在の住宅ローンの適用金利が高めの場合、より金利の低いローンに借り換えることで毎月の返済額や総返済額の軽減が期待できます。住宅ローンの借り換えとは、現在の住宅ローンを一括返済し、別の金融機関でローンを組み直すことです。

一般的に住宅ローンの借り換えが有利とされるのは、以下の3つの条件を満たしたケースとされています。

  1. 借り換え後の金利差が年1%以上
  2. 住宅ローンの残高が1,000万円以上
  3. 残りの返済期間が10年以上

これらの条件を満たしていなくても、住宅ローンを借り換えた方が条件を改善できるケースもあります。まずは専門家などに相談し、シミュレーションを行ってみるとよいでしょう。

借り換えでどれくらい返済額が減る?

借り換えで返済額が減るケースを見ていきましょう。次の事例は現在のローン残高2,000万円、適用金利1.5%、残存期間が20年の場合に0.7%の住宅ローンに借り換えた例です。

  現在のローン 借り換え後
金利 1.5% 0.7%
毎月の返済額 96,509 89,326
20年間の総返済額 2,3162,160 2,1438,240
利息分 3162,160 1438,240

借り換えによって毎月の返済額が96,509円から89,326円と約7,000円軽減でき、支払う利息の総額も約162万円少なくなります。

このケースでは金利差は1%より少なかったのですが、借り換えのメリットがあることがわかります。ただし、借り換えで返済額が減らせるかはケースバイケースであるため、必ず試算して検討しましょう。

借り換えを利用する際の注意点

借り換えは毎月の返済額の軽減によって総返済額も減らせます。そのため、可能であれば優先的に取り入れたい方法ですが、以下のようなデメリットや注意点がある点は把握しておきましょう。

  • 初期費用がかかる
  • 手間と時間がかかる
  • 健康状態の変化で団体信用生命保険に加入できないケースもある

借り換えは現在の住宅ローンを完済するための手数料や、新規のローンのための費用がかかります。金額は金融機関ごとに差があるため、場合によっては費用がかかりすぎて借り換えのメリットが薄れる可能性があります。

また、借り換えには審査のための書類準備および提出の手間がかかり、その際には新たに団体信用生命保険に入り直す必要がありますが、健康状態によっては引き受けてもらえないリスクもあります。

2:借入期間の延長を申し込む

住宅ローンの毎月の返済負担が大きすぎる場合、借入期間を延長することで返済額を減らせます。借入期間の延長のような住宅ローンの条件変更の取り扱いは、金融機関ごとにルールがあります。まずは金融機関の担当者に相談してみましょう。

借入期間延長でどれくらい返済額が減る?

借入期間延長で返済額が減るケースを見ていきましょう。事例は現在のローン残高2,000万円、適用金利1.0%、残存期間が20年の場合に借入期間を10年延長した例です。

  現在のローン 延長後
毎月の返済額 91,978 64,327
総返済額 2,2074,720 2,3157,720
利息分 2074,720 3157,720

借入期間延長によって毎月の返済額が91,978円から64,327円と約27,000円軽減できます。ただし、支払う利息は約108万円多くなる点に注意しましょう。

借入期間延長の注意点

住宅ローンの借入期間延長は、延長する期間の長さによっては返済額の負担を大きく減らせます。しかし、以下のようなデメリットや注意点があるため、慎重な検討が必要です。

  • 金利負担が増える
  • 退職後もローンが続く場合もある
  • 金融機関が延長に応じてくれない可能性がある
  • 延長するには条件がある

試算結果でも確認しましたが、借入期間を延長すると金利負担が増え、総返済額も多くなります。返済が楽になるからといって、安易に長期の延長をしないようにしましょう。また、期間延長によって、退職後もローンの返済が続くなどライフプランも変わります。家計全体の影響を考えましょう。

ほとんどの金融機関ではローンの条件変更の相談に応じてくれます。しかし、必ずしも希望どおりになるとは限らないことも頭に入れておきましょう。

期間の延長を申し込む際には、以下のような条件があります。

  • 返済ができなくなった正当な理由がある
  • 毎月の収入が規定水準以下

など

この他にも金融機関によって条件が設定される場合もありますが、やむを得ない事情があればは期間の延長が承認される可能性は高いと考えられます。

3:貯蓄があれば繰り上げ返済を検討する

住宅ローンの返済額を減らしたい人で手元にローンの返済に回せる貯蓄がある人は、繰り上げ返済を利用できます。繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に、臨時で住宅ローンの残債の一部または全部を返済することです。繰り上げ返済では返済額全額が元金に充当されるため、利息の軽減効果があります。

繰り上げ返済には月々の返済額は変わらず返済期間が短くなる「期間短縮型」と、返済期間は変わらず返済額が少なくなる「返済額軽減型」があります。

期間短縮型のほうが利息を減らす効果は高いのですが、毎月の返済額を減らしたい人は返済額軽減型を選ぶ方がよいでしょう。

繰り上げ返済でどれくらい返済額が減る?

繰り上げ返済で返済額が減るケースを見ていきましょう。借入額3,000万円、金利1.0%、返済期間30年、元利均等返済、ボーナス払いなし、10年後に300万円を返済額軽減型で繰り上げ返済するケースで考えてみます。

繰り上げ前の返済額 9万6,491
繰り上げ後の返済額 8万2,643
減少する利息額 30万9,922

このケースでは毎月の返済額が9万6,491 円から8万2,643 円と約14,000円軽減でき、支払う利息も約31万円少なくなります。

期間短縮型であれば、約60 円ほど利息の総額が減らせますが、毎月の返済額は減りません。

繰り上げ返済の注意点

住宅ローンの繰り上げ返済は、返済額軽減型を選ぶと毎月の返済額を減らせます。しかし、以下のようなデメリットや注意点があります。

  • 手数料がかかる
  • 金融機関によっては返済額軽減型を取り扱わない場合がある
  • 返済しすぎに注意が必要

繰り上げ返済の取り扱いは金融機関によって異なります。繰り上げ返済の手数料の金額や繰り上げ返済のタイプは住宅ローンを契約する前に金融機関に確認しておきましょう。

また、繰り上げ返済で多く返済しすぎて、その他の支出に回すお金が不足しないように返済に充てる金額は慎重に検討しましょう。

コロナウイルスの影響で収入が減った人は住宅ローンの減免措置がおすすめ

新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少し、住宅ローンなど各種ローンの返済ができなくなった人の負担を軽減する制度があります。

この制度は自然災害による被災者向けの債務整理ガイドラインを改正し、新型コロナを対象にする特則が加えられたものです。

この制度を利用するメリットは以下のとおりです。

  • 弁護士などの「登録支援専門家」による手続き支援を無料で受けられる
  • 財産の一部を手元に残せる
  • 個人信用情報(いわゆるブラックリスト)に登録されない

この制度の利用を希望する場合、最も借り入れの多い金融機関に連絡し、手続き着手を希望する申し出をします。

ただし、この減免措置には、一定の要件を満たすことや借入先の同意などが必要となります。誰にでも利用できるわけではないことを知っておきましょう。

月々の返済額を減らす方法はある!支払えなくなる前に早めの行動を

さまざまな事情によって住宅ローンが計画どおりに返済できなくなる可能性は誰にでもあります。万が一、そうなってしまった場合には月々の返済額を減らす方法を検討する必要が出てきます。

借り換えや返済期間の延長など、どの方法を利用する場合にも手続きが必要となりますが、何もせずに滞納してしまう事態は避けるべきです。

この記事を参考に自分に合った方法を検討し、早めに金融機関の担当者に相談しましょう。

監修

松田 聡子(まつだ さとこ)/ファイナンシャルプランナー

群馬FP事務所代表。日本FP協会認定CFP®・DCアドバイザー・証券外務員2種。ITエンジニア、国内生命保険会社を経て2009年に独立系FPとして開業。
「住宅ローンを無事に返済しきるには健全な計画が肝心」をモットーに住宅ローン相談にも対応中。

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