住宅ローンの返済比率の目安│安定して返済を続けやすい適正値は?

マイホームを購入する際には、住宅ローンを組む方がほとんどです。しかし、住宅ローンはあくまでも借入金ですから、「いくら借りられるのか」ではなく「いくらなら返せるのか」を考えることが重要になります。そこでこの記事では、月々もしくは年間の返済額に着目した、返済比率という考え方をご紹介します。住宅ローンの借入額や月々の返済額を決める際、返済比率についても事前に確認しておきましょう。

【目次】
住宅ローンの返済比率とは?
返済比率の変化による住宅ローンの支払額の違い
住宅ローンの返済比率の適正値は?
返済比率にとらわれず、無理なく返せる金額で

住宅ローンの返済比率とは?

住宅ローンの借入額を決める際の目安にもなる「返済比率」。ここでは返済比率の概要や金融機関が定める上限値についてご紹介します。

返済比率とは?

返済比率とは、額面年収に対する住宅ローンの返済額の割合のことで、返済負担率と呼ぶこともあります。

【返済比率の計算式】

(住宅取得のための借り入れの年間返済額+住宅取得以外の借り入れの年間返済額)÷(申込人の年間収入+収入合算者の年間収入)×100

たとえば、住宅ローンを借り入れる人の年収が500万円で、毎月のローン返済額が125000円とすると、返済比率は30%になります。

12万5000円×12カ月÷500万円×100=30(%)

夫婦共働きで収入合算する場合には、合計の年収で考えます。また、自動車ローンや教育ローン、カードローンなど住宅取得以外の借り入れがある場合には、すべての返済額を計算に含めます。返済額が計算式の分子となるため、返済比率が高いほど毎月の支払いが多く、家計を圧迫しやすくなります。

銀行が住宅ローンを貸し出す際にも、返済比率は住宅ローンの融資審査の際に見られる指標のひとつとされています。また、返済比率は借入額の目安を算出するときにも利用することができます。

返済比率の目安

 

ここでは、理想的な返済比率を考える前に、金融機関の融資条件の側面から返済比率の目安についてご説明します。

申込者の返済能力を超えて融資することを防ぐため、金融機関では基準(上限)となる返済比率を設けていることが多くあります。たとえば、代表的な長期固定金利型の住宅ローンである【フラット35】の場合、年収に対する返済比率の上限は次の通りです。

年収 返済比率
400万円未満 30%まで
400万円以上 35%まで

 

金融機関が定める返済比率は、年収に対して年間でどのくらいの返済額が上限になるかを示しており、年間の返済額上限をもとに、最大の借入可能額を判断します。あくまで借入可能額なので、確実に返済が可能な金額とは限りません。実際に借入額を決める際は、教育費などほかの支出も考慮し、家計の収支の状況も考えて事前にしっかりとシミュレーションをすることが大切です。

返済比率の変化による住宅ローンの支払額の違い

具体的に、返済比率を2040%とした場合に、借入額がどのくらいになるのかを年収別に計算しました。

【借入条件】
返済期間:35
返済方法:元利均等返済
金利:1.310% 全期間固定金利
ボーナス払い:なし
住宅ローン以外の借入:なし
※月々の返済額は、年間返済額を12で割って、百円の位を四捨五入
※借入可能額の目安は、各返済比率いっぱいまで借りる場合の借入額

年収300万円(月収25万円)

返済比率 年間返済額 月々の返済額 借入可能額の目安
20% 60万 5万 1,683万
25% 75万 6.3万 2,104万
30% 90万 7.5万 2,525万
35% 105万 8.8万 2,946万
40% 120万 10万 3,367万

年収からは社会保険料や税金が差し引かれるため、実際の手取額はもっと少なくなります。返済比率は「年収」に対する比率であって、「手取額」に対する比率ではありません。仮に返済比率30%といっても、手取額に対する比率はもっと高くなってしまいますから、注意が必要です。

年収500万円(月収41.7万円)

返済比率 年間返済額 月々の返済額 借入可能額の目安
20% 100万 8.3万 2,806万
25% 125万 10.4万 3,507万
30% 150万 12.5万 4,209万
35% 175万 14.6万 4,910万
40% 200万 16.7万 5,612万

年収が500万円を超えると、5,000万円超の借り入れも可能性が見えてきます。しかし、仮に年収500万円の方が5,000万円の住宅ローンを借りる場合、借入金だけで年収倍率が10倍となります。住宅金融支援機構の「2019年度 フラット35利用者調査」によると、新築の注文住宅や建売住宅、マンションを購入した方の所要資金に対する年収倍率は平均67倍です。10倍となると、平均値を大きく上回るということを理解しておく必要があります。

年収700万円(月収58.3万円)

返済比率 年間返済額 月々の返済額 借入可能額の目安
20% 140万 11.7万 3,928万
25% 175万 14.6万 4,910万
30% 210万 17.5万 5,892万
35% 245万 20.4万 6,875万
40% 280万 23.3万 7,857万

年収700万円になると、借入可能額もかなり増えるため、住宅の選択肢も広がります。前述の「2019年度 フラット35利用者調査」では、住宅購入における所要資金は比較的高水準であるマンションで4,521万円、土地付きの注文住宅で4,257万円です。頭金をあまり用意できないケースでも、返済比率は25%未満に抑えられるということになります。

年収900万円(月収75万円)

返済比率 年間返済額 月々の返済額 借入可能額の目安
20% 180万 15万 5,051万
25% 225万 18.8万 6,313万
30% 270万 22.5万 7,576万
35% 315万 26.3万 8,839万
40% 360万 30万 10,102万円

年収900万円になると、返済率を40%に設定した場合の借入可能額は1億円を超えます。ただし、金融機関によっては融資額に上限を設けていることがあり、【フラット35】では8,000万円が限度です。もし8,000万円以上の借り入れをしたい場合は、希望額よりも上限金額を高く設定している住宅ローンを利用する必要があります。

※参考:2019年度 フラット35利用者調査」(住宅金融支援機構)

住宅ローンの返済比率の適正値は?

年収別に返済比率2040%までの借入額の目安についてご紹介しましたが、そもそも適正な返済比率とはどのくらいなのでしょうか。ここでは、住宅ローンの返済比率の適正値について解説します。

返済比率の適性値

住宅金融支援機構の「2019年度 フラット35利用者調査」によると、【フラット35】利用者の返済比率の平均は21.7%となっています。返済比率25%以上~30%未満、20%以上~25%未満の割合がともに全体の24.9%ずつで最多です。住宅の種類別に見ると、土地付きの注文住宅は返済比率が平均23.8%とほかの住宅タイプと比較して高めとなっています。逆に、中古戸建(平均19.3%)や中古マンション(19.4%)など、中古住宅は比較的低めです。

返済比率の適正値は年収だけでなく家庭の状況などによっても変わりますが、一般的に、2025%が返済比率の適正値とされ、これを超えると生活に支障をきたしやすいと言われています。年収が高い人は返済比率が高くても手元に残るお金は多く、生活にゆとりを持ちやすい一方で、返済比率が25%以下だったとしても、そのほかの支出が多い場合は家計が苦しくなるおそれもあります。

※参考:2019年度 フラット35利用者調査」(住宅金融支援機構)

返済比率が上がってしまう主なケース

返済の途中で返済比率が変わってしまうこともあります。返済比率が上昇するのは以下のようなケースです。

  • 年収が減った場合
  • 変動金利を選択していて、金利の見直しによって適用金利が上昇した場合
  • 固定金利期間選択型を利用していて、固定期間終了後に金利が上昇した場合 など

金融機関が定める返済比率の上限いっぱいまで借りると、返済額の増加などによって返済が滞るリスクがあります。毎月の生活費や将来のための貯蓄額を考慮し、住宅ローンの返済に当てられる金額を決めると良いでしょう。

住宅ローンは長期にわたり返済しますが、その間に収入や家族構成、お子さんの教育費の支出増加など、ご家庭の状況は変わっていきます。現時点での返済比率だけで考えてしまうと、あとで返済計画の見通しが甘かったと言うことになりかねません。また、住宅を購入すると住宅ローンの支出以外にも、管理費や修繕積立金、固定資産税などさまざまなランニングコストが発生します。

返済比率にとらわれず、無理なく返せる金額で

返済比率は年収に対する年間返済額の割合ですが、住宅ローンの返済期間が長くなれば、返済比率は低くなります。例えば、借入額は同じでも、返済期間が30年と35年の住宅ローンを比べた場合、35年ローンのほうが年間の返済額は少なくなるため、返済比率も低くなります。

仮に、返済期間30年では返済比率を満たさないため借り入れができないといった場合でも、35年返済にすると借り入れが可能になることもあります。ただし、返済期間を延ばすと老後の生活に支障をきたすおそれがある点には注意が必要です。

返済比率も大切ですが、かといって、返済比率だけに頼ってしまうのは危険です。考え方のひとつとして、今後必要な費用を含め長期的な視野に立ってしっかりとシミュレーションしたうえで、返済に無理のないように、余裕を持って借入額を決めていきましょう。

監修

石田 知美(いしだ ともみ)/1級FP技能士、CFP認定者

大学卒業後、建設会社に勤務していたが、自己啓発のために勉強したファイナンシャル・プランニングに興味を持ち、転職。住宅購入セミナーや企業等での職員向けライフプランセミナー・退職準備セミナーをはじめ、FP資格取得講座や証券外務員対策講座など各種金融関連資格取得講座、各企業・一般消費者向けセミナー等を行う。 

ローンのコラムの関連記事
  • 住宅ローンを利用する流れは?必要書類と押さえておきたいポイント
  • 住宅ローンは名義変更できる?金融機関から承諾を得られるケースの例
  • 住宅ローン返済中に賃貸に出せる?もしものときに貸し出す際の注意点
  • オーバーローンとは?メリットと利用する際に押さえておきたいリスク
  • 住宅ローンの利息の計算方法│金利差による利息額の違いは?
  • パートタイマーは住宅ローンを組みにくい?利⽤のポイントと注意点
  • 住宅ローンにおける保証会社の役割は?保証のあり・なしによる違い
  • 住宅ローン減税とは?適用を受けるための要件と手続きの流れ、注意点
おすすめの記事