住宅ローンがあるけど引っ越したい場合どうすればよい?

結婚や転勤などの理由で引っ越したいと考えている人の中には、住宅ローンを抱えている人もいるかもしれません。その際に、住宅ローンがあっても引っ越しできるかどうか気になる人もいるでしょう。

本記事では、住宅ローンがある場合の基本的なルールと、ローンの返済中でもスムーズに引っ越しする方法を解説します。

【目次】
住宅ローンがあっても引っ越せるの?
残債があるけど引っ越したい場合
スムーズに引っ越す方法とは
住宅ローンがあっても引っ越せるが、資金に余裕が必要

住宅ローンがあっても引っ越せるの?

住宅ローンの残債がある場合でも引っ越しすることは可能です。ただし、その自宅を売却する、または賃貸に出す場合にはいくつかの条件を満たさないといけません。

たとえば、住宅ローンについては融資した金融機関がその土地と建物に抵当権を設定するため、住宅ローンの残債がある状態では、物件を勝手に売却したり、賃貸に出したりすることはできません。

例外として、転勤や介護などが要因で引っ越しせざるを得ない場合は、賃貸に出すことが認められています。その際であっても、ローンを組んでいる金融機関に事前の相談が必要です。返済中に転勤が決まった場合については以下の記事もぜひ参考までにご一読ください。

住宅ローン返済中に転勤が決まったら?自宅の扱いと手続き、注意点

残債があるけど引っ越したい場合

ここでは、住宅ローンの残債がある状態で引っ越しする場合の基本的なルールや、売り先行と買い先行といった用語について説明していきます。

基本的なルールについて

残債がある場合はどのような流れで引っ越しを計画すればよいでしょうか。引っ越しする前にすべきこととして、以下の手順で進めていきましょう。

1. 金融機関に相談する
2. 住宅ローンを完済する
3. 金融機関が設定した抵当権が抹消される
4. 自宅を売却したり賃貸に出したりする
5. 引っ越しをする

この流れで引っ越しの計画を立てる場合、売却してから新居を探し始める(売り先行)か、それとも新居を購入してから自宅を売却する(買い先行)かといった問題が発生します。

売り先行と買い先行とは

売り先行とは、先に自宅を売却してから新居を探す方法です。売り先行の場合は、先に自宅を売却するため、新居購入などに必要となる費用の資金計画が立てやすいというメリットがあります。しかし、その反面、住みながら自宅を売却することになるため内覧への対応が都度必要です。

買い先行とは、先に新居を探してから自宅を売却する方法です。既に新居が決まり、引っ越しが完了していれば空き家の状態で内覧ができ、売買契約までスムーズに進みやすくなります。その一方で、一時的に新居と現在の自宅の二重ローンとなるケースも考えられ、家計の負担が大きくなってしまうリスクがあります。

スムーズに引っ越す方法とは

現在の自宅を売却し、新居に引っ越しするまでをスムーズに進める方法として、次の3つが挙げられます。

・売却後に引っ越す
・ダブルローンを利用する
・住み替えローンを利用する

以下では、それぞれについて詳しく説明します。

売却後に引っ越す

現在暮らしている自宅に戻る可能性がないのであれば、自宅を売却してから引っ越しするのがスムーズな方法です。

自宅の売却金額が残債より大きい場合(いわゆる「アンダーローン」)は、抵当権が解除されるため問題なく自宅の売却を進めていけます。また、自宅を売却して利益が出た場合は新居に引っ越す準備費用にも充てられるでしょう。

ただし、自宅を売却しても残債が残ってしまう場合(いわゆる「オーバーローン」)は、売却で生じる不足分を自己資金などから補填しなければなりません。

自宅の売却を検討している場合は、まずは不動産査定を行い、自宅の売却見込み金額を算出してみましょう。

ダブルローンを利用する

引っ越したい先を購入して準備する場合、ダブルローンを組む方法も選択肢の1つです。ダブルローンとは、売却予定の住宅ローンを返済しつつ、新居の住宅ローンを組むことです。

新居を先に購入でき、住み替えがしやすい点はメリットですが、金融機関から別途お金を借りることになるため、相応の返済能力の証明が必要となります。また、2つのローン返済が必要となると、返済金額が増え、家計負担が大きくなるリスクがあります。

住み替えローンを利用する

オーバーローン時に利用できる「住み替えローン」も有効です。住み替えローンとは、売却した際に発生する残債分を新居のローンに上乗せして一本化する仕組みです。

たとえば、残債が1000万円、新居の購入費用が3500万円の場合は総額4500万円の住宅ローンを組みます。そうすることで、残債分を自己資金から補填せずに新居の購入と自宅の売却をスムーズに進めることが可能です。

ただし、新居のローンに加えて自宅の残債も合わせて借り入れるため、借入総額が増加し、返済負担が増えます。また、自宅の引き渡し日と新居の決済日を同日に行う必要があり、これらの日程調整も必要です。

住宅ローンがあっても引っ越せるが、資金に余裕が必要

住宅ローンの残債がある場合でも引っ越しは可能ですが、いくつかの条件を満たす必要があります。まずは、現在の自宅を売却してしまうのか、賃貸に出して所有権を残すのかを決めることから始めましょう。

自宅を売却して引っ越す場合、アンダーローンとなるのであれば問題ありませんが、もしオーバーローンとなるのであれば「住み替えローン」の活用を検討しましょう。

自宅を賃貸に出したい場合は、住宅ローンの要件から外れてしまうため、転勤などの例外を除いて事業性ローンとして組み直す必要があります。そのため、早期に金融機関に相談することをおすすめします。

 

監修
辻本 剛士
辻本 剛士(つじもと つよし)/ファイナンシャルプランナー
神戸で活動中の独立型FP。高度な専門性が求められるFP1級、CFPに独学で合格し、2023年1月から開業。
個人向けFP相談と金融に関するWEBライター業務をメインに活動中。
 
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