中古住宅も住宅ローン控除が受けられる!築年数や控除上限額に注意

一定の住宅ローンを借りて、要件を満たすマイホームを取得した場合に所得税と住民税の一部が控除される「住宅ローン控除」。新築住宅だけでなく中古住宅でも適用されますが、一部の中古住宅は対象外となっています。また、住宅の環境性能によって控除期間や最大控除額などが異なります。

そこで今回は、中古住宅における住宅ローン控除について解説します。築年数や控除上限額についても解説しますので、中古住宅の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

【目次】
住宅ローン控除の概要
住宅ローン控除が受けられる中古住宅の築年数は?
控除上限額や控除期間は新築と中古で異なる
中古住宅における住宅ローン控除の適用条件
住宅ローン控除とリフォーム減税は併用できる?

住宅ローン控除の概要

住宅ローン控除とは、入居後から10年あるいは13年間、年末時点での借入金残高に所定の控除率をかけた金額が、所得税・住民税から控除される制度です。

2022(令和4)年の税制改正により、控除率が「1%」から「0.7%」に変更となり、取得した住宅の環境性能基準などに応じて控除対象限度額も改正されました。

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して住宅の購入やリフォームを行った人が対象です。住宅ローン控除の要件に該当すれば、確定申告を行うことで適用されます。

ちなみに、住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」です。税金に関する説明書類などの中では「住宅借入金等特別控除」という言葉が使われますが、言葉が違うだけで意味は同じです。また「住宅ローン減税」と表記されることもあります。

住宅ローン控除についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

住宅ローン控除とは?2022年度税制改正の主なポイントや注意点も解説

住宅ローン控除が受けられる中古住宅の築年数は?

2022年度税制改正により、住宅ローン控除が受けられる中古住宅の築年数に変更がありました。

ここでは、2022年度税制改正後の築年数の要件について解説します。

「築年数要件」は2022年度税制改正で撤廃

2022年度税制改正前の住宅ローン控除の適用要件は、木造などの非耐火住宅は築20年以内、マンションなどの耐火住宅は築25年以内となっており、築年数に制限がありました。

これ以上の築年数の物件は、耐震基準適合証明書・既存住宅性能評価書・既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書のうちいずれかで耐震性を証明できる書類を提出しなければ、住宅ローン控除は受けられなかったのです。

しかし、2022年度の税制改正によって、1982(昭和57)年以降に建築された新耐震基準の適合住宅であれば住宅ローン控除は受けられるように改正。これまでの築年数要件は撤廃となりました。2022年以降は、新耐震基準の建物であれば中古住宅でも住宅ローン控除の対象となります。

これまでの築年数要件がなくなったことで適合証などの書類の提出が不要になり、中古住宅を検討している方の手続きの負担が軽減されることとなりました。

「新耐震基準」とみなされる条件

旧耐震基準 新耐震基準
震度5強程度(中規模地震) 震度5程度の地震で即座に建物が崩壊しないこと 中規模の地震(震度5強程度)でほとんど損傷しないこと(軽いひび割れ程度で収まること)
震度6~7程度(大規模地震) 規定なし 大規模の地震(震度6強~7程度)で倒壊や崩壊しないこと

 

新耐震基準とは、1981年6月1日以降に施工された建築基準法の耐震基準のことで、それ以前の基準を「旧耐震基準」といいます。

1981年に耐震基準が変わるきっかけとなったのが、1978年に起きた宮城県沖地震。最大震度5を記録し、多くの家屋が倒壊し被害は甚大だったとされています。

この被災を教訓として、1981年6月1日にこれまでより厳しい基準の新耐震基準法が施工されたのです。

新耐震基準の住宅は、震度6以上の大規模の地震でも耐えられる設計となっており、これから住宅購入を検討している方にとっては安心感のあるものとなっています。

厳密にいえば、建築確認申請が役所で受理された日付が1981年6月1日以降であれば、新耐震基準で建てられた建築物だと判断できます。

しかし住宅ローン控除においては、建築確認申請が受理されたタイミングではなく、建築日が1982年以降である場合に新耐震基準とみなされます。

控除上限額や控除期間は新築と中古で異なる

住宅ローン控除は、新築と中古住宅で受けられる内容が異なります。

ここでは、住宅ローン控除を利用する際の、控除上限額や控除期間の違いについて解説します。

借入限度額

取得等する住宅の区分 入居する年 控除期間
2022年 2023年 2024年 2025年
新築住宅・買取再販住宅 認定長期優良・認定低炭素住宅 5,000万円 4,500万円 13年
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円
一般住宅 3,000万円 2,000万円※1 13年※1
中古住宅 認定住宅等 3,000万円 10年
一般住宅 2,000万円

 

※1:2024年以降の控除期間は10年となり、登記簿上の建築日付が2024年7月1日以降の新築住宅は、2023年末までに建築確認を受けたものを除いて対象外となります。

 

借入限度額は、新築住宅と中古住宅とで異なります。さらに、住宅の環境性能によっても借入限度額は細分化されています。

例えば、新築のZEH水準省エネ住宅に該当する場合(上記表②)は、2023年末までの入居であれば、借入額は4,500万円が上限となります。この4,500万円と各年の年末時点のローン残高うち、いずれか低いほうに0.7%を乗じて控除額が計算されます。

一方、ZEH水準省エネ住宅に該当する中古住宅を取得した場合(上記表⑤)は、3,000万円が借入上限額です。よって、1年間の最大控除額は「3,000万円×0.7%=210万円」となります。

控除期間

控除期間は、新築住宅および不動産業者による買取再販の中古住宅の控除期間は13年。中古住宅は基本的に10年です。

ただし中古住宅であっても、買取再販住宅であれば控除期間は13年となります。

なお買取再販住宅とは、不動産業者が取得した住宅にリフォーム・リノベーション工事を施してから再販される消費税課税中古住宅を指します。

中古住宅における住宅ローン控除の適用条件

中古住宅で住宅ローン控除を受けるための要件は大きく「住宅」「住宅ローン」「人」の3つに分かれます。

<取得する住宅に関する要件>

入居日 2025(令和7)年12月31日まで
用途等 床面積の1/2以上の部分が専ら自己の居住の用に供されること
住宅の広さ 登記簿上の床面積が50㎡以上であること(ただし年間所得が1000万円以下の場合は床面積は40㎡以上であれば適用可能)
中古住宅の要件 新耐震基準に適合する建物であること

まず住宅に関する要件では、中古住宅の築年数要件が撤廃され、新耐震基準に適合しているかどうかで判断されます。登記簿上の建築日が1982(昭和57)年以降であれば新耐震基準に適合しているとみなされます。

 

<住宅ローンに関する要件>

借入先 金融機関、住宅金融支援機構、地方住宅供給公社などからの借入があること
返済期間 住宅ローンの返済期間が10年以上であること

 

<控除を受ける人に関する要件>

所得要件 控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下であること
居住要件 取得の日から6カ月以内に居住の用に供し、控除の適用を受ける各年の12月31日まで引き続き住んでいること

控除を受ける人に関する要件のうち「所得要件」については、2022年度の税制改正によって所得要件が合計所得3,000万円以下から2,000万円以下に改正されています。

参照:No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁 (nta.go.jp)

住宅ローン控除とリフォーム減税は併用できる?

一定のリフォームにも、住宅ローン控除は適用されます。一方、住宅ローン控除とは別に、一定のリフォームでは「リフォーム減税」が受けられます。しかし、住宅ローン控除もリフォーム減税も所得税を控除する制度なので、原則として併用できません。ただし、耐震リフォームのリフォーム減税であれば住宅ローン控除と併用できます。

リフォーム減税とは?

必須工事 その他工事 最大控除額(必須工事とその他工事合計)
対象工事
(いずれか実施)
対象工事限度額 控除率 対象工事 対象工事限度額 控除率
耐震 250万円 10% 必須工事の対象工事限度額超過分およびその他のリフォーム 必須工事に係る標準的な費用相当額と同額まで(※2) 5% 62.5万円
バリアフリー 200万円 60万円
省エネ 250万円(350万円※1) 62.5万円(67.5万円※1)
3世代同居 250万円 62.5万円
長期優良住宅化 耐震+省エネ+耐久性 500万円(600万円※1) 75万円(80万円※1)
耐震or省エネ+耐久性 250万円(350万円※1) 62.5万円(67.5万円※1)

※1:カッコ内の金額は、太陽光発電を設置する場合

※2:最大対象工事限度額は必須工事と併せて合計1,000万円が限度

出典:国土交通省「令和4年度 国土交通省税制改正概要」

 

リフォーム減税とは、中古住宅に対して以下5つのいずれかのリフォームをした場合に、工事費用の10%を翌年の所得税から控除する制度です。

・耐震リフォーム

・バリアフリーリフォーム

・省エネリフォーム

・3世代同居リフォーム

・長期優良住宅化リフォーム(耐震・省エネ化・耐久性向上)

 

例えば、手すりを設置し、段差をなくす工事をした場合に、バリアフリーリフォームの所得税の控除を利用すると以下①、②のいずれか少ない額の10%が控除額となります。

①告示に定められたバリアフリーリフォームの標準的な工事費用相当額…100万円

②控除対象限度額…250万円

この場合、所得税控除額は、100万円×10%=10万円が所得税から控除されます。

住宅ローン控除と併用できるのは耐震リフォームのリフォーム減税のみ

リフォーム減税を利用することによって、リフォームにかかった費用に対しても所得税を減税できます。

ただし、リフォーム減税と住宅ローン控除が併用できる工事は「耐震リフォーム」のみと定められており、それ以外のリフォーム工事には併用できません。

耐震リフォームとは、1981年5月31日以前に建築された旧耐震基準の建物を、地震に対する安全性の向上を目的とする新耐震基準に適合した建物にするための工事です。

住宅ローン控除と併用すると、より節税効果が高まります。適用要件に該当する場合は、積極的に活用しましょう。

リノベーション済の再販中古住宅は新築と同様の控除が受けられる

中古住宅でも、リノベーション済の買取再販住宅であれば、新築と同様の控除が受けられます。

一般中古住宅の住宅ローン控除の期間は10年ですが、不動産業者が販売する買取再販住宅であれば新築住宅と同様に控除期間は13年となります。

環境性能によって控除額が変わってくる点も新築住宅と同様です。

参照:住宅:買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置 - 国土交通省 (mlit.go.jp)

 

今回ご紹介したように、住宅ローン控除は中古住宅でも受けられます。

中古住宅の場合、借入上限額や控除の期間が新築住宅とは異なりますが、買取再販住宅であれば新築と同様の控除が受けられます。

ただし、旧耐震基準で建てられた中古住宅は、住宅ローン控除の対象外です。

中古住宅における住宅ローン控除の適用条件を満たすかどうかを確認し、少しでも税金を抑えられるよう住宅ローン控除を活用しましょう。

監修

亀梨 奈美(かめなし なみ)/住宅ローンアドバイザー

大手不動産会社退職後、フリーライターとして独立。2020年株式会社realwaveを設立し代表取締役に就任。
「わかりにくい不動産のことを初心者にもわかりやすく」をモットーに、メガバンクや不動産会社のメディア、不動産専門紙などで多くの記事を執筆・監修。

  • 住宅ローン控除とは?ローン借入前に申請方法や注意点をおさらい
  • 住宅ローンの頭金の目安は?頭金を入れるメリットやデメリットを解説
  • 「フラット35」2022年11月の金利を予想
  • 住宅ローン控除はいつまで?条件ごとに異なる適用期日や確定申告期限を解説
  • 中古住宅も住宅ローン控除が受けられる!築年数や控除上限額に注意
  • フラット35の利用条件とは?通りにくい事例についても解説
  • 住宅ローン控除は13年?10年?期間延長の条件とは
  • 住宅ローンの選び方とは?チェックすべきポイントや注意点も解説
おすすめの記事
「フラット35」2022年11月の金利を予想
住宅ローンコラム
住宅ローンを選ぶ際に、最も気になるのは「金利」ではないでしょうか。毎月1日に金利が発表されますが、実は事前にある程度の予測を立てることができ...